15年程前の掃除屋の仕事をしていた頃、、
そいつは、しばしばアシスタントとして私と組んで現場に行っていた。
「オレは画面をブラックアウトさせる命令を世界一短いコマンドで実行できる」と自慢げに言っていた。未だにそんなことが出来るのかどうか分からないが、当時はまだ、事務所にもスタッフ共用のリコー製のPCが2台しかなく、OSはWindowsではなくNTだった時代。私な何となく憧れのような、尊敬のようなキラキラした目で彼のことを見ていた。
ハッカーでガンマニアでもある彼はスパイ映画に出てくる、怪しいヒーローのようだった。
移動中の車内でも私の好きそうな話を次々と繰り出してきた。
彼は面白いヤツだった。
ある日のファミリーレストランでのこと、、
「オレは超人的な嗅覚の持ち主なんだ」と言った。
「あそこにウェイトレスがいるだろ?あいつ今日生理だぜ。」
「奥の席に座ってるオヤジ、朝カレー食ってきたな。昨日の残り物なんだろうな」
以後、そいつと組まないようにした。
本当に嗅覚が良いのかどうか、実験でもしない限り第三者にわかりようがないのだが、もし事実だったとしても、他言してはいけないのだ。
なぜなら、人のプライバシーに土足でしかも本人に知られることなく侵入できる。
超常現象や超能力は大好きだが、そんなヤツが隣にいるのはご気持ち悪いことこの上ないからだ。
そんなことを言い出さなければ今でも友達だったかもしれない。